上手に弾くだけじゃない。発表会に参加することで育つ力

4月と5月でこどもの生徒さんの発表会が終わりました。今は8月のエレクトーンアンサンブル発表会(アンサンブルコンサート)の準備をしています。11月には大人の生徒さんの発表会もあります。
音楽教室の発表会というと、
「上手に弾ける人が出るもの」「失敗しないように演奏するもの」
というイメージを持つ方もいるかもしれません。
でも、発表会のいちばん大きな意味は、完璧な演奏をすることだけではありません。
人前で演奏するために準備し、本番の舞台に立ち、最後までやり切る。その経験そのものが、生徒さんにとって大きな成長につながります。
目標ができると、練習が変わります
普段の練習では、どうしても気分に左右されたり、同じところで止まってしまったりすることがあります。
けれど、発表会の日が決まると、
「この日までに、ここまでできるようになろう」
という目標が生まれます。
目標ができることで、ただ曲を繰り返すだけではなく、苦手な部分を確認したり、少しずつ仕上げたりする意識が出てきます。
本番までの時間を考えながら練習することは、音楽だけでなく、物事を計画して進める力にもつながります。
人前で演奏することで、集中力が育ちます
発表会では、いつものレッスン室とは違う場所で、多くの人に見守られながら演奏します。
舞台に立つと、緊張して手が震えたり、普段なら間違えないところで音を外したりすることもあります。
私自身もチェロを習い始めて発表会に参加しても、練習の時に出来たことが緊張でできなかった経験がたくさんあります。あの独特の緊張感ってなんなんでしょうね?笑
発表会で演奏を始めたら最後まで続けなければなりません。
緊張している中で音に集中し、次の音を考え、演奏を続ける。この経験は、とても大きなものです。
本番を何度か経験するうちに、緊張がなくなるわけではなくても、緊張との付き合い方が少しずつ分かってきます。
失敗しても、最後までやり切る力
本番では、思い通りにいかないことも多々あります。
音を間違えたり、止まりそうになったり、止まってしまったり。
でも、そこで投げ出さずに演奏を続けることに意味があります。
一度の失敗から立て直し、最後まで曲を終える。その経験は、「失敗しても大丈夫」「やり直しながら前に進める」という自信につながります。
発表会では、最後まで舞台に立ち続けたことを、ぜひ評価してほしいと思います。舞台に立っただけですごいんです!
人の演奏を聴くことも大切な経験です
発表会は、自分が演奏するだけの場所ではありません。
ほかの生徒さんの演奏を聴くことも、大切な学びになります。
自分と同じくらいの年齢の人が難しい曲に挑戦していたり、少し先輩の生徒さんがすてきな演奏をしていたりすると、
「自分もあんな曲を弾いてみたい」
「もう少し続けてみよう」
という新しい目標が生まれることがあります。
楽器や曲が違っても、誰かが一生懸命に演奏している姿から受け取るものはたくさんあります。
舞台を降りたあとの達成感
演奏が終わり、拍手を受けて舞台を降りたとき、生徒さんの表情が大きく変わることがあります。
本番前は不安そうだった人も、演奏後にはほっとした顔や、少し誇らしそうな顔になります。
「緊張したけれど、できた」
「最後まで弾けた」
という実感は、大きな自信になります。
その自信が、次の練習や新しい曲への挑戦につながっていきます。
発表会は、上手な人だけのものではありません
発表会は、完成された演奏を披露する人だけの場所ではありません。
今の自分で舞台に立ち、自分なりに一曲を届ける場所です。
初めて参加する人も、まだ始めて間もない人も、大人の生徒さんも、それぞれの段階で参加する意味があります。
上手に弾けたかどうかだけではなく、
- 本番に向けて練習を続けたこと
- 緊張しながら舞台に立ったこと
- 途中であきらめず最後まで演奏したこと
- 人の演奏をしっかり聴いたこと
その一つひとつが、大切な成長です。
音楽を、人に届ける経験
楽器の演奏は、自分一人で楽しむこともできます。
でも、人前で演奏すると、音楽は「自分が弾くもの」から「誰かに届けるもの」へと変わります。
聴いている人が笑顔になったり、家族が成長を感じたり、演奏した本人が達成感を味わったりする。
発表会には、普段のレッスンだけでは得られない特別な経験があります。
上手に弾くことだけを目標にするのではなく、舞台に立つまでの過程と、やり切った経験を大切にしてほしいと思います。